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1.コーヒーの歴史【12】一味違う珈琲伝播〈9〉
Caffe「皆さん、Caffe(カフェ)です」。「今回第12回は『 イスラーム教とコーヒー (9)~イスラーム教創始者の英断 ① ~ 』をお伝えします」。「さて前回、アブー・バクルは、クライシュ族などがムスリムに対する容赦ない迫害を企て、それにクライシュ族でムスリムに加担す者との間で一触即発の現況であることを憂慮して、その危機迫る状況を包み隠さず赤裸々に語った」。「それでは、皆さんを『イスラーム教とコーヒー (9)~イスラーム教創始者の英断 ① ~ 」』へご案内申し上げますワン」
イスラーム教とコーヒー (9) ~イスラーム教創始者の英断 ① ~
613年からクライシュ族の寄り合いは、激論の末に感情論、その挙げ句に迫害はと擁護派ど一色即発の状況で終わるのが恒例となっている。また、『ムハンマドをメッカから追放するべき』もしくは『抹殺する』と言う過激派が増加している。それら憂慮する事態打開のために協議が開催され、ムハンマドが挙手した。
ムハンマド「皆さん、イスラームの教義としてジハードがありますね」。ゆったりと語りかける。
ムハンマド「皆さんがご存知の通り、ジハードには内的ジハードと外的ジハードがあります」。両手を横に開き広げる。
ムハンマド「内的ジハードは、自我の心の中にある不正義・悪・欲望・利己主義と戦うことです。美徳(善行)な人であれば全ての人が受け入れられます。ただ、悪徳(悪行)の人であれば不正義・悪・欲望・利己主義に溺れます」と諭す。
ムハンマド「イスラームは、信仰心、慈善行為、寛大、正直、他者への善意や助け、家族への愛情などの善行を尊びますね」と念を押す。
ムハンマド「悪徳(悪行)を重んじるものは、不正、略奪、偽証、殺人、他者への虐待や暴力(迫害など)、神に対する不信心などがありますね」と問いかける。
ムハンマド「善行者は善行を重んじる者は天国で報われます。悪行者は地獄の罪を受ける事になります。しかし、改心して善行に励めば天国で報われます。ムスリムは、悪行者が後世で罪を受けることのないように、改心する手助けを行うことに心掛けなくてはなりません。また、迷える者も救済しなくてはなりません」。「ここまでは、皆さんの体の中に染み込んでいることと思いますが、大事なことなので敢えて確認させていただきました」。視線を出席者一人一人に向けた。
ムハンマド「610年から、今日までムスリムはクルアーンやハディースに根差し、内的ジハードの、自己欲望との戦い、精神的な洗練、善行の実践、知識の追求などに向上心を持ちつとめて参りました」。「それはこれからも変わりはありません」。自身に言い聞かせるように歯切れよく喋り大きく頷いた。
ムハンマド「外的ジハードは、個人または共同体が攻撃や迫害などの危険に直面した場合などに自己防衛のために戦うこと、異教徒地域や非イスラーム教徒の地域で信仰の宣伝を行うために戦うこと、他のイスラム教徒や共同体が迫害や侵略にあった場合など支援の提供で戦うことが認められています」。眉間にしわを寄せて首を左右に小刻み振った。
ムハンマド「直面する課題を真摯に解決することが、イスラームの真理です。それには解決策を確り透視し、確実に実践しなければなりません」と説き口を結んだ。
《MEMO》▶︎ジハード(jihad)イスラーム教徒が信仰を迫害されたり、布教を妨害された場合に、武力に訴える行為。聖戦。▶︎利己主義(りこしゅぎ)自分の利益や快楽だけを考えて行動するやり方。自分勝手。エゴイズム。▶︎慈善(じぜん)あわれみいつくしむこと。困っている人などを援助すること。▶︎寛大(かんだい)心が広くゆるやかなこと。おおようなこと。▶︎善意(ぜんい)善良な心。他人のことを思う心。好意。▶︎善行(ぜんこう)善い行い道徳にかなった行い。▶︎改心(かいしん)悪い心を改めること。▶︎追求(ついきゅう)どこまでも後を追いかけ求めること。▶︎向上心(こうじょうしん)より優れた状態を目指そうとする心。▶︎共同体(きょうどうたい)特定の目的を達成するために結成される組織と区別される。協同体。▶︎侵略(しんりゃく)他国に侵入してその領土やざいさんを奪うこと。▶︎眉間(みけん)額の中央。眉と眉の間。▶︎真摯(しんし)まじめでひたむきなさま。▶︎真理(しんり)ほんとうのこと。まことのどうり。倫理的・宗教的に正しい生き方。
《ONE POINT》ムハンマドは解決策として、内的ジハードと外的ジハードの方法があることを提示した。これまでムスリムは、クルアーンやハディースに根差し、内的ジハードの、自己欲望との戦い、精神的な洗練、善行の実践、知識の追求などに向上心を持ちつとめるとともに、悪行者に対して改心をすすめ救済してきたこと。また、外的ジハードは、個人または共同体が攻撃や迫害などの危険に直面した場合などに自己防衛のために戦うこと、異教徒地域や非イスラーム教徒の地域で信仰の宣伝を行うために戦うこと、他のイスラム教徒や共同体が迫害や侵略にあった場合など支援の提供で戦うことが認められていること。これらについて全員で改めて確認し、直面する課題を真摯に解決することが、イスラームの真理だと説いた。
Caffe「皆さん、『 イスラーム教とコーヒー (9) ~イスラーム教創始者の英断 ① ~ は、如何でしたか」。「次回『1.コーヒーの歴史』【13回】一味違う珈琲伝播〈10〉、 イスラーム教とコーヒー (10) ~イスラーム教創始者の英断 ② ~ 」 』を、ご期待くださいね」。「それでは皆様、 Have a wonderful time~」
(文・写真 H.kobayashi)