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1.コーヒーの歴史【6】一味違う珈琲伝播〈3〉
Caffe「皆様、 Caffe(カフェ)です」。「今回第6回は『イスラーム教とコーヒー(3)~イスラーム教創始の絶望の淵 ① ~ 」』をお伝えします」。「さて、前回は、西暦610年ムハンマドは、イスラーム教の創始者として始動します
」。「西暦613年のある日、メッカにあるカアバ神殿の周りで『アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である』などの啓示を唱えました」。「しかし、多神教の聖地周辺では力説すればするほど、冷ややかな奇異の目にさらされ、ムハンマドは息も絶え絶え自宅に辿り着きましたね」。「それでは、皆様を『イスラーム教とコーヒー(3)~イスラーム教創始の絶望の淵 ① ~ 」』へご案内申し上げますワン」
『 イスラーム教とコーヒー(3) ~ イスラーム教創始者の絶望の淵 ① 〜 』
西暦613年メッカにある多神教のカアバ神殿周辺で最初の公的な『アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である』などの布教活動で、冷ややかな奇異の目にさらされたムハンマド。妻ハディージャに抱えられ椅子にやっとの思いで腰掛けると、妻から差し出された一杯の水を、時間をかけて飲み干した。
ハディージャは、夫の背中をやさしく優しく撫でて呼吸の乱れが治るまで手を休めることはない。夫の呼吸の乱れが次第に治ってくるとハディージャは自然と安堵して笑みがこぼれ落ちる。ハディージャは「もうどのくらい、このようなことを繰り返しているのかしら」。数え上げても数えきれない。
ムハンマドがハディージャの微笑みを見て、やっと思い口を徐々に開き、「カアバ神殿の周りで、嗤笑(ししょう)され、奇異の目にさらされた」。赤裸々に公的な啓示や布教活動での出来事をつぶさに話した。
その日以来、夫はハディージャの微笑みなをみると、その日にあった出来事をつぶさに話すようになりました。ハディージャは夫の話す言葉を一言一句も聞き漏らすことなく、耳を澄ませてひたすら聞き行っている。決まってムハンマドは一通り話し終わるとそのまま寝入ってしまう。その度に、すっかり憔悴した寝顔を見るハディージャの目からは、大粒の涙が一粒こぼれ落ちと幾重にもとめどもなく涙が落ちる。
ハディージャは多神教のカアバ神殿周辺での布教活動が原因でムハンマドの心と体を蝕んでいくとともに、自身の心までもが日増しに蝕まれていく恐怖心におののいている日々を過ごしている。それが極限に迫ると突如に自我を戒める分身が現れ、その葛藤の攻め合いで夜も眠れなくなってきた。
ハディージャは、このままだとムハンマドを支えきれなくると切羽詰まり、ムハンマドの育ての親アブー・ターリブに相談することを決意する。
《MEMO》 ▶︎ 嗤笑(ししょう)はあざけり笑うこと。嘲笑。相手を見下したり馬鹿にしたりした笑い。▶︎慄く(おののく)は恐怖や興奮なので身体が振るえる思いをする。▶︎憔悴(しょうすい)身心の疲れから、やつれ衰えること。▶︎一言一句(いちごんいっく)一つ一つの語句。わずかな言葉。一言半句。▶︎極限(きょくげん)物事の一番の果て。かぎり。極。▶︎葛藤(かっとう)心の中に相反する欲求が同時に起こり、そのどちらを選ぶか悩むこと。コンフリクト。▶︎切羽詰まる(せっぱつまる)ものごとがさしせまって、どうにも切り抜けられなくなる。追い詰められて全く窮する。(広辞苑etc.)
《ONE POINT》西暦613年メッカにある多神教のカアバ神殿周辺での布教活動で、必ず冷ややかな奇異の目にさらされるムハンマド。その度憔悴しきったムハンマドを介護するハディージャの目からは必ず大粒の涙がこぼれ落ちる。ハディージャは多神教のカアバ神殿周辺での布教活動が、原因でムハンマドの心と体を蝕んでいくとともに、自身の心までもが日増しに蝕まれていく恐怖心におののいている日々を過ごしている。それが極限に迫ると突如自我を戒める分身が現れ、葛藤で攻め合いで夜も眠れなくなり、ついにクライシュ族の重役を務めているムハンマドの育ての親アブー・ターリブに相談することを決意する。
Caffe「皆様、如何でしたか、『イスラーム教とコーヒー (3) ~イスラーム教創始者の絶望の淵 ① ~ 』はいかがでしたか」。「次回は『イスラーム教とコーヒー (4) ~ イスラーム教創始者の絶望の淵 ② ~ 』は5月12日(金)に掲載予定としております。乞うご期待です」。 「それでは皆様、 Have a wonderful time~」
(文・写真 H.kobayashi)