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1.コーヒーの歴史【17】一味違う珈琲伝播〈14〉
Caffe「皆さん、Caffe(カフェ)です」。「今回第17回は『 イスラーム教とコーヒー (14)~ウスマーンの求婚 ② ~ 』をお伝えします」。「前回は、ウスマーンがルカイヤを私の妻に迎えたいと率直に申し出た。ハディージャは良縁だと、ムハンマドは申し分ないと認める。ルカイヤはアブー・バクルとウスマーンについて単刀直入の感想を聞かせてくれと、唐突な父の質問に、目を白黒させて戸惑い、頭が白くなりもたもたしている」。「それでは、皆さんを『イスラーム教とコーヒー (14)~ウスマーンの求婚 ② ~ 」』へご案内申し上げますワン」
イスラーム教とコーヒー (14) ~ ウスマーンの求婚 ② ~
ムハンマド「ウスマーンとは知らない仲ではないから、忌憚のない感想を聞かせてほしい」。笑顔で催促する。
ルカイヤ「はい」と一呼吸おき、「最も適任者だと」。そう言い切り父親の顔を見る。
ムハンマド「その根拠は」
ルカイヤ「はい、まずムスリムの間で信望があられます。それに本業の交易も広域に渡り盛況を極めて活躍されておられます。必ず、良い方向にムスリムを導いていただける方だと常々思っております」
ムハンマド「ところで、ルカイヤはムスリムということで迫害を受けたが、ウスマーンのプロジェクトに参加して、ムスリムを迫害から守る活動に参画するつもりはありますか」
ルカイヤ「はい、ムスリムとしてご奉仕できるとしたのなら、こちらのプログラムかなと思います」
ムハンマド「そうなると、ウスマーンと行動をともにすることになるが」
ルカイヤ「はい、ご迷惑をかけないように努めます」
ルカイヤ「ムスリムには男女がおります。女性ならではの観点で、お役に立てるかと存じます」
ムハンマド「そうか」。「アブー・バクルについては、どうかな」
ルカイヤ「アブー・バクルは誰よりも早く、ムハンマドの良き理解者として二人三脚でイスラームのためにご尽力されておられます」「これまでにウスマーンを始め数多くのムスリムの信仰告白をサポートされておられます」「ウマン(共同体)建設地選定と建設はイスラーム建設の礎になり、壮大な事業の責任者に最適だと思います。尊敬の念を抱いております」
ムハンマド「そうだね」
ムハンマド「ハディージャ、ルカイヤの見立てはどうかね」
ハディージャ「私も同感ですよ」
ムハンマド「そうかね。ルカイヤの希望については」
ハディージャ「本人の意志に同意いたしたいと思います」
ムハンマド「ウスマーン、お聞きの通りです。ルカイヤをあなたのプログラム推進者としてご了解いただけますか」
ウスマーン「承りました」と頭をさげ、ルカイヤに向かって「ルカイヤ、これからパートナーとしてよろしくお願いいたします」と深く頭を下げた。
ルカイヤ「はい、ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます」。笑顔でウスマンに向かって返した。
ムハンマド「ウスマーン、ルカイヤを当該プログラム推進者として指導をよろしくお願いしますよ」。ウスマーンにそうしてほしいと託した。「ルカイヤありがとう。これで席を外してください」。ルカイヤに向け安堵の表情を浮かべ促した。
ルカイヤ「はい」、「失礼致します」と部屋を出て行った。
ムハンマド「さて、アブー・バクル、君の考えは如何ですか」
アブー・バクル 「しばらくの間、ルカイヤの気持ちを尊重して、ウスマーンの推進プログラムで、様子を伺うことが賢明かと思います」。ムハンマドとハディージャに向かって願い出た。目を凝らして隣にいるウスマンを見つめる。その気迫に押されるようにウスマーンがムハンマドとハディージャに伏す。
ウスマーン「そのように、切にお願い申し上げます」。極度の緊張で上擦った声で述べた。
ムハンマド「そうですか」と心穏やかにハディージャの顔を見る。ハディージャは母親の顔で小さく頷き微かに微笑んだ。
ムハンマド「ウスマーンよろしくお願いしますよ。アブー・バクルもよろしくお願いしますよ」と、父親の素顔で二人に託した。
《MEMO》▶︎忌憚(きたん)いみはばかること。遠慮▶︎適任者(てきにんしゃ)その任務にふさわしい人。また、その才能に適した任務者。▶︎根拠(こんきょ)ある言動のよりどころ。もと。また、議論などのよりどころ。▶︎信望(しんぼう)信用と人望。▶︎盛況(せいきょう)盛んなありさま。▶︎参画(さんかく)計画に加わること。▶︎奉仕(ほうし)つつしんでつかえること。献身的につくすこと。▶︎観点(かんてん)観察・考察するときの立場や目のつけどころ。見方。見地。▶︎尽力(じんりょく)あることのために力を尽くすこと。骨を折ること。▶︎礎(いしずえ)物事の基礎となる。▶︎尊敬の念(そんけいのねん)他人の人格・行為などをとうとびうやまうこと。▶︎抱く(いだく)胸の中にかかえこむ。考えや感情を心に生じさせる。▶︎賢明(けんめい)賢くて道理に明らかなこと。適切な判断や処置が下せるさま。▶︎上擦る(うわずる)声や言い方が落ち着きなく高くなる。
《ONE POINT》ムハンマドはルカイヤにウスマーンについて、忌憚のない感想を聞かせてほしいと催促した。ルカイヤは「ウスマーンまずムスリムの間で信望があります。それに本業の交易も広域に渡り盛況を極めて活躍されています。必ず、良い方向にムスリムを導いていただける方だと常々思っております」と、また、ムハンマドの「ウスマーンのムスリムを迫害から守る活動に参画するつもりはありますか」の問いに、「ご奉仕できるとしたのなら、こちらのプログラムかなと思います」と単刀直入に答えた。その状況を見て、アブー・バクル は「ルカイヤの気持ちを尊重して、ウスマーンの推進プログラムで、様子を伺うことが賢明かと思います」と進言。するとムハンマドは「よろしくお願いしますよ」と、父親の素顔で二人に託した。
Caffe「皆さん、『 今回第17回は『 イスラーム教とコーヒー (14)~ウスマーンの求婚 ② ~ は、如何でしたか」。「次回『1.コーヒーの歴史』【18回】一味違う珈琲伝播〈15〉、 イスラーム教とコーヒー (15) ~ ウスマーンの求婚 ③ ~ 」 』を、ご期待くださいね」。「それでは皆様、 Have a wonderful time~」
(文・写真 H.kobayashi)