第5回珈琲Basic Knowledge

=MAGAZINE= 珈琲ブレークサイト

弾ける焙煎 ….. 吹き出すアロマ….. その先にサイレンスの時が訪れる…..

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1.コーヒーの歴史 【5】一味違う珈琲伝播〈2〉

 Caffe「皆様、キャラクターのCaffe(カフェ)です」。「今回第5回は『イスラーム教とコーヒー(2)~ スラーム教創始者の試練 ~ 』をお伝えします」。「さて、前回は、ムハンマドは570年頃に命を授かり、6歳で孤児となり叔父のところで成長し、25歳で15歳年上の豪商の女主人ハディージャと結婚し6人の子と幸せに暮らします」。「610年40歳の頃から社会の現状を嘆き悲しみヒラー山に篭り、洞窟で瞑想していると突然目の前に天使が現れ『唯一神はアッラーである』との啓示を受け、イスラーム教の創始者として新たにスタートを切ることとなりましたね」。「それでは、皆様を『イスラーム教とコーヒー(2)~ イスラーム教創始者の試練 ~ 』へご案内申し上げますワン」

『 イスラーム教とコーヒー  ~ イスラーム教創始者の試練 ~ 』

ときは7世紀ごろ、アラビア半島の西部にある砂漠地帯に、メッカというオアシス都市があった。そこは、交易路の交差点として多くの人が行き交い、またカアバ🕋神殿と呼ばれる多くの偶像が鎮座する多神教の聖地があり多くの巡礼者が訪れるなど、商業地としても繁栄していた。

西暦610年のある日、商人のムハンマドは、メッカ社会の現状を、豊な商人が貧しい人々を支配している社会的不平等と、男性の所有物であるかのように扱われている女性の実情などに嘆き悲しみ、メッカから約5キロメートル離れたヒラー山に籠って、ヒラー洞窟で瞑想をしていた。すると、突然目の前に天使ジブリールが現れ『唯一神はアッラーである』との啓示を受けた。

ムハンマドは、一番最初に妻のハディージャに、ヒラー山での出来事をつぶさに話した。ハディージャは動揺することなくムハンマドが初めて啓示を受けた時のことを何回も尋ねた。ハディージャは「神は唯一であり、アッラー(Allah)」とつぶやき、ムハンマドの顔を繁々見つめ、あなたは信じますかと尋ねた。ムハンマドは大きく頷きハディージャを改めて見つめなおし、「神は唯一、アッラー」と先にも増して大きく深く頷いた。二人が見つめ合ったまま、無空の時が過ぎていく。

しばらくして、妻ハディージャは「ラー・イラーハ・イッラ・アッラー・ムハンマドゥン・ラスール・アッラー(アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である)」と心から唱えて、ムスリム(イスラーム教徒)になることを受け入れた。ムハンマドは娘ファーティマの夫で、育ての親アブー・ターリブリの息子で従兄弟(いとこ)のアリーにも打ち明けると、アリーは感銘しムスリムになるために信仰告白を行なった。こうして、ムハンマドから家族に、家族から友人に、友人から他の人々へと広がり、信奉者が徐々に徐々に増えていく。

ムハンマドがヒラー山のヒラー洞窟で啓示を受けてから、はや3年が過ぎた西暦613年のある日、ムハンマドはメッカにあるカーバ神殿の周りで、最初の公的な「ラー・イラーハ・イッラ・アッラー・ムハンマドゥン・ラスール・アッラー(アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である)」などの啓示を唱えた。しかし、誰一人として耳を傾けるものはいない。それはカアバ神殿が、多神教の聖地で多数の偶像が祀られており、アラビア半島各地から多くの巡礼者が訪れている場所なので、当然と言えば当然の成り行きでした。ムハンマドが力説すればするほど、冷ややかな奇異の目にさらされてしまう。

ムハンマドは、他の宗教がアラビア半島の各地から大勢の信者を集め、信者が途切れなく行き交う情景を改めて目の当たりにして、多神教の聖地メッカで唯一神 アッラーの信仰心を起こすことの苦難を背負ってしまったのではないかなど、邪心が幾重にも覆い被さり、遂には息苦しさに耐えきれず、その場から逃げるように息も絶え絶えハディージャのいる自宅にたどり着いた。

《MEMO》▶︎メッカがある砂漠地帯(Makkahがあるさばくちたい)現代のナジュド砂漠のこと。▶︎従兄弟(いとこ)、父・母の兄弟の子。▶︎信仰告白(しんこうこくはく)アッラーに対する自己の信仰を明白に表現すること。▶︎感銘(かんめい)忘れられないほど深く心に感ずること。▶︎信奉者(しんぽうしゃ)唯一神アッラーを無上のものとして尊ぶこと。▶︎無上(むじょう)この上ないこと。▶︎多神教(たしんきょう)多数の神々を崇拝する宗教。▶︎崇拝(すうはい)あがめうやまうこと。信仰すること。尊敬すること。▶︎偶像(ぐうぞう)①木・石・土どで作った像。②あこがれや尊敬・妄信などの対象となっている人や人物。▶︎聖地(せいち)①せいじん・教祖などに関係ある神聖な土地。▶︎神聖(しんでん)けがれなく尊いこと。清らかで冒し難いこと。また、そのさま。(広辞苑etc.)

《ONE POINT》西暦610年ムハンマドはイスラーム教の創始者として始動する。妻を皮切りに信仰告白をしてムスリムになる人々が徐々に徐々に増えていく。はや3年が過ぎた西暦613年のある日、ムハンマドはメッカにあるカアバ神殿の周りで、最初の公的な「アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である」などの啓示を唱えた。しかし、多神教の聖地周辺では力説すればするほど、冷ややかな奇異の目にさらされ、ムハンマドは唯一神 アッラーの信仰心を起こすことの苦難を背負ってしまったのではないかと、息苦しさに襲われながら息も絶え絶え自宅に辿り着いた。

Caffe「皆様、如何でしたか、『イスラーム教とコーヒー(2)  ~ イスラーム教創始者の試練 ~ 』。「多神教の聖地周辺では力説すればするほど、冷ややかな奇異の目にさらされる、ムハンマド。聳え立つ分厚く大きな扉を開くことができるのでしょうか」。「次回、第6回は5月5日(金)は『イスラーム教とコーヒー(3)~イスラーム教創始の絶望の淵 ① ~ 」』を掲載する予定となっております。乞うご期待」。「それでは皆様、 Have a wonderful time~」

(文・写真 H.kobayashi)

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