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1.コーヒーの歴史【15】一味違う珈琲伝播〈12〉
Caffe「皆さん、Caffe(カフェ)です」。「今回第14回は『 イスラーム教とコーヒー (12)~イスラーム教創始者の英断 ④ ~ 』をお伝えします」。「前回は、消去法でいくと『迫害を避ける』がベストという結果になリましたね」。「また同時に、共同体と軍力が欠如を是が非でも、あるべき姿にしなければならないと、しかしこのメッカ(マッカ)はクライシュ族の支配下、共同体と軍力を持つことなどしたら、殺される懸念があると反論もありましたね」。「メッカを離れる ? 。メッカを捨てるのかと、協議が白熱してきましたね」。「それでは、皆さんを『イスラーム教とコーヒー (12)~イスラーム教創始者の英断 ④ ~ 」』へご案内申し上げますワン」
イスラーム教とコーヒー (12) ~イスラーム教創始者の英断 ④ ~
アリー「アブー・ターリブ、その真意を明らかにしてください」と懇願するように指名した。
アブー・ターリブ「迫害から逃れる先及び共同体と外的ジハードのための軍力を樹立するための先、これらの未来像を描くことが不可欠だ。その上で、最適地を選定することが賢明と考える」と大きく頷き。「イスラームの教義に基づく指針をいただきたい」と願い出た。
アリー「お願いいたします」。目を閉じて微動だにしないムハンマドに願い出た。
ムハンマド「ヒジュラ(聖遷)と言い移住のことである。アラビア語で、共同体を意味する『ウンマ』がある。イスラーム教においてのウンマは、ムスリムが国などの地域を超えて一つの共同体をつくることを意味します」と静観したまま諭す。
アブー・ターリブ「ヒジュラは、ムスリムの避難地と、それにウンマ(共同体)建設地を用意しなければなりません」。出席者の反応を見回す。するとルカイヤがアリーに向かって頷き、発言の許しを受けた。
ルカイヤ「私は実家に戻れたから救われましたが、避難できる場所がなく息を殺して生活をしているムスリムは多い。一刻の猶予もなりません」。頬を伝う幾重もの涙を流し訴える。
アリー「そのほかありませんか」と全体を見渡す。「それでは論点を整理します。迫害から逃れるヒジュラは早急に実行することについての可否は如何ですか」と問う。
全員「異議なし」と即答する。
アリー「次に、共同体の推進とウンマの…..」。アブー・ターリブが挙手したのを見て、「どうぞ」と発言を促す。
アブー・ターリブ「ウンマ(共同体)建設については、場所の選定の前にムハンマドによるウンマ啓示について、その真意を正確に理解してビジョンを策定して地域のコンセンサスを得て進めることが肝要である」。抑揚をつけて言い切りアピールした。。
アリー「如何ですか」と見渡す。
全員「異議なし」と声をそろえる。
アリー「ここで担当責任者の選出をお願いいたします」。「まず、迫害から逃れる移住先について、如何ですか」。全員を見渡すがアクションがない。しばらくしてムハンマドが目を輝かせて手を前方斜め上にかざした。
アリー「ムハンマドお願いいたします」と呼称しする。
ムハンマド「ウスマーンにお願いしたい。ウスマンは交易を営んでおり豪商で人脈も豊富でテリトリーも広域にあります。窮地に陥っているムスリムの救済にご尽力ください」。ウスマーンを直視する。ワンテンポ置いて全員から拍手が湧き起こった。
アリー「全会一致で承認されました」。そう告げ、ウスマンに発言を促す。
ウスマーン「最善を尽くします」。モハンマドの目を直視して答えるとともに、そのほかの参加者に向けて決意を述べた。
ムハンマド「ウンマ(共同体)建設の真意は、私は610年に豊かな商人が貧しい人々を支配している社会的不平等などに悩み、ヒラー山の洞窟で瞑想していた時にアッラーの啓示を受け、それ以来啓示を受け続けている」。「『唯一神、アッラーの前の絶対平等』の拠点となるウンマと絶対平等社会を建設しなければならない」。「何故ならば、イスラーム教においてのウンマは、ムスリムが国などの地域を超えて一つの共同体をつくることを意味します」。「その拠点の地域選定となります」。「焦らず、心して着実に成さねばなりません」。淡々とした口調で一気に述べた。
ムハンマド「近親者を除く最初の入信者でウスマーンの入信など多数をムスリムへと導いた、アブー・バクルに決定したい」と大きく頷いた。すると一斉に拍手が湧き上がった。
アリー「全会一致で承認されました」。皆んなに告げ、アブー・バクルに発言を促す。
アブー・バクル「断固たる決意を持って、ともに成し遂げます」と態度を固め誓った。
ムハンマド「すべてのムスリムは、唯一神アッラーの奴隷であり、アッラーの前ではすべてのムスリムは平等とされ聖職者は存在しない。一人一人のムスリムが自ら宗教生活を行うのだ」。「イスラームでは血縁の絆は否定され、ムスリムは同胞としてウンマに結集する」。「イスラーム教の創始にはイスラム共同体建設は不可欠である」。アッラーの意志を預言者 ムハンマドが明らかにした瞬間でもあった。
アリー「以上を持って、閉会いたします」。昼下がりの協議会が閉会された。
《MEMO》▶︎微動だにしない(びどうだにしない)全く動かない。全く動じない。▶︎ウンマ(ummah)アラビア語では民族・国民・共同体。イスラーム教においては、ムスリムが国などの地域を超えて一つの共同体をつくる。▶︎猶予(ゆうよ)物事を疑って容易に決しないこと。ぐずぐずして決めかねること。ためらうこと。▶︎コンセンサス(consensus)意見の一致。合意。▶︎豪商(ごうしょう)富豪の商人。財力の豊かな大商人。▶︎救済(きゅうさい)救い助けること。宗教による人間の究極的な救い。▶︎拠点(きょてん)活動のよりどころになる所。▶︎平等(びょうどう)かたよりや差別がなく、すべてのものが一様に等しいこと。へいとう。▶︎成す(なす)なしとげる。つくりあげる。▶︎決意(けつい)意志を決めること。また、その意志。決心。
《ONE POINT》担当責任者の選出について、全員からアクションがない。しばらくしてムハンマドから、迫害から逃れる移住先のヒジュラについては交易を営んでおり豪商で人脈もテリトリーも豊富にあるウスマーンが推薦され、全会一致で決定した。また、『唯一神、アッラーの前の絶対平等』の拠点となるウンマ(共同体)建設については、近親者を除く最初の入信者でウスマーンの入信など多数をムスリムへと導いた、アブー・バクルが推薦され、全会一致で決定した。その後、預言者 ムハンマドから「すべてのムスリムは、唯一神アッラーの奴隷であり、アッラーの前ではすべてのムスリムは平等とされ聖職者は存在しない。一人一人のムスリムが自ら宗教生活を行う」。「イスラームでは血縁の絆は否定され、ムスリムは同胞としてウンマに結集する」。「そのイスラム共同体の建設は成さねばならない」と、唯一神 アッラーの意志を預言者 ムハンマドが明らかにした。
Caffe「皆さん、『 イスラーム教とコーヒー (12) ~イスラーム教創始者の英断 ④ ~ は、如何でしたか」。「次回『1.コーヒーの歴史』【16回】一味違う珈琲伝播〈13〉、『イスラーム教とコーヒー (13)~ウスマーンの求婚 ① ~ 」 』を、ご期待くださいね」。「それでは皆様、 Have a wonderful time~」
(文・写真 H.kobayashi)